2001 VOL.110 No.2
 表紙写真
三宅島火山の2000年カルデラ
Formation of a Collapse Caldera at Miyake-jima Volcano, 2000

 三宅島火山は,2000年7月8日夕刻,小水蒸気爆発と同時に山頂陥没を起こした.日毎に陥没と拡大を続けて中央火口丘 雄山は消滅し,8月には,直径1.6km,深さ約500mの小型陥没カルデラとなった.新旧2重のカルデラをもつ玄武岩質成層火山として知られていた三宅島にとって,約2500年ぶりとされる,少なくとも3回目のカルデラ形成である.人間にとって,この種のカルデラ形成を科学の目で捉えるのは史上初めてである.
 三宅島火山は,1940年,1962年,1983年等の噴火にも見られるように,近過去約500年間,22年の整数倍(±5年)間隔で山腹割れ目噴火を起こしてきた.今回の2000年噴火も6月26〜27日に西側海底で起きた小規模な山腹割れ目噴火で短期決着かとみられたが,北西島外への群発地震を続け,山頂陥没につながった.過去の割れ目噴火の1桁上の大量のマグマが深いマグマ溜りから北西の地下へ割れ目をつくって脱出・貫入し,体積減のマグマ溜りへ吸い込まれるかたちで山頂陥没が起きたらしい.
 8月以降継続的な噴煙排出が始まった.マグマ溜りから地表までほぼ直結状態となった火道(に相当する,陥没岩塊によって充填された通路)を通しての,ガス排出が主体である.火山灰を主とする固形物は,長区間のガス排出に伴って粉砕された既存の岩石片などを主とし,6月の海底噴火を除いて,マグマの関与は明らかでない.
 9月以降,水蒸気排出に加え,マグマから遊離する二酸化硫黄ガスの排出が一層顕著となった.数万t/日の大量排出は半年後も続き,3800余名の住民は不自由な島外避難生活を強いられている.
 2001年3月現在,カルデラは周壁の崩落を徐々に進めて直径約1.7 km.噴煙活動は低下し,灰を含む有色噴煙は殆どない.12〜1月に火映現象が見られ,3月に微動多発,同18日大きな微動とそれに伴う小降灰を起こしながらも,表面現象・機器観測データはともに,活動低下傾向を見せているとよめる.

 表紙写真は,陥没開始直後(上:2000年7月9日朝,南東から)と,以前・以後(左下:1983年12月21日,右下:2001年3月21日,ともに北西から)の比較である.

(写真・解説:大島 治 Osamu OHSHIMA)

目 次 
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 特集「三宅島2000年噴火と神津島・新島周辺の地震活動」
中田節也 特集「三宅島2000年噴火と神津島・新島周辺の地震活動」─まえがき─
129-131
19KB
浜田信生 三宅島,神津島,新島周辺の過去の地震活動
132-144
1,164KB
酒井慎一・山田知朗・井出 哲・望月将志・塩原 肇・卜部 卓・平田 直・篠原雅尚・金沢敏彦・西澤あずさ・藤江 剛・三ヶ田 均 地震活動から見た三宅島2000年噴火時のマグマの移動
145-155
1,125KB
津久井雅志・新堀賢志・川辺禎久・鈴木裕一 三宅島火山の形成史
156-167
441KB
中田節也・長井雅史・安田 敦・嶋野岳人・下司信夫・大野希一・秋政貴子・金子隆之・藤井敏嗣 三宅島2000年噴火の経緯─山頂陥没口と噴出物の特徴─
168-180
1,465KB
山本英二・鵜川元雄・藤田英輔・岡田義光・菊池昌江 三宅島2000年の火山活動におけるカルデラ形成期に発生したステップ状傾斜変動
181-190
384KB
藤田英輔・鵜川元雄・山本英二・岡田義光・菊池昌江 三宅島2000年噴火に伴う火山性地震・火山性微動
191-203
830KB
菊地正幸・山中佳子・纐纈一起 三宅島2000年噴火活動に伴う長周期地震のメカニズムとその解釈
204-216
824KB
古屋正人・大久保修平・田中愛幸・孫文科・渡辺秀文・及川 純・前川徳光 重力の時空間変化でとらえた三宅島2000年火山活動におけるカルデラ形成過程
217-225
509KB
笹井洋一・上嶋 誠・歌田久司・鍵山恒臣・ZLOTNICKI, Jacques・橋本武志・高橋優志 地磁気・地電位観測から推定される三宅島火山の2000年活動
226-244
1,526KB
高田 亮 玄武岩質火山成長に伴うカルデラ形成─重力崩壊モデル─
245-256
603KB
宇都浩三・風早康平・斎藤元治・伊藤順一・高田 亮・川辺禎久・星住英夫・山元孝広・宮城磯治・東宮昭彦・佐藤久夫・濱崎聡志・篠原宏志 三宅島火山2000年噴火のマグマ上昇モデル─8月18日噴出物および高濃度SO2火山ガスからの考察─
257-270
1,012KB
風早康平・平林順一・森 博一・尾台正信・中堀康弘・野上健治・中田節也・篠原宏志・宇都浩三 三宅島火山2000年噴火における火山ガス─火山灰の付着ガス成分およびSO2放出量から推測される脱ガス環境─
271-279
86KB
書評・紹介
280-283
28KB
ニュース
284
9KB
 地学クラブ講演要旨
宇井忠英 有珠山2000年噴火─表面現象の推移から噴火機構を探る─
285-288
25KB
協会記事
289-290
14KB
会   告
291-292
8KB
 口 絵
1
三宅島2000年噴火の経緯─山頂陥没口と噴出物の特徴─(中田節也・長井雅史・安田 敦・嶋野岳人・下司信夫・大野希一・秋政貴子・金子隆之・藤井敏嗣)
452KB
2
重力の時空間変化でとらえた三宅島2000年火山活動におけるカルデラ形成過程(古屋正人・大久保修平・田中愛幸・孫文科・渡辺秀文・及川 純・前川徳光)
235KB
3
三宅島火山2000年活動に伴う全磁力変化と自然電位の異常(笹井洋一・上嶋 誠・歌田久司・鍵山恒臣・ZLOTNICKI, Jacques・橋本武志・高橋優志
801KB