2003 VOL.112 No.1
 表紙写真
シッカー岬の傾斜不整合(スコットランド南西部)

Uncomformity at Siccar Point, Southeastern Scotland
◇近代地質学の創始者,ジェームス・ハットン(1726〜1797)が発見したこの露頭は,世界で最も有名な不整合露頭のひとつである.ハットンは1788年,友人のジョン・プレイフェアとともに,エジンバラの東50 kmにあるシッカー岬にあるこの露頭をボートからながめ,不整合の意味を正しく認識した.
◇下位はほぼ垂直に切り立つシルル系の砂岩・頁岩互層で,上位は緩く傾斜するデボン系の旧赤色砂岩である.ハットンは次のように考えた.@下の地層は海底に水平に堆積した.A力が加えられて下の地層は隆起し,山となった.B山が削られて上面が水平になった.Cそこへ新たな赤色砂岩が堆積した.このように不整合が,現在地球上で起こっているのと同じ浸食・堆積・隆起などの作用によって,気の遠くなるような時間をかけてできあがったことを認識したのである.
◇有名な場所なので世界中の地質学者や観光客がひっきりなしに訪れるのでは,と想像しながら2002年6月に現地を訪れた.しかし海岸から500m地点のひなびた倉庫奥で道路は終わっており,そこからは徒歩で牧草地を横切り,^n30゜を越える急傾斜を下ってようやく傾斜不整合の場所に到着した.踏み跡がほとんど残っていないことから,ごくわずかの地質学者しか訪れないようである.
◇構図も工夫は試みたが,下位の垂直な地層に上位の赤色砂岩が傾斜不整合で重なるのをうまく説明できる写真というと,結局,表紙のような構図にならざるを得ない.というわけで,世界中の教科書で取り上げられている写真と同じような写真になった次第である.

(写真・文:白尾元理 Motomaro SHIRAO)
 
目 次 
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 論  説
  椛島太郎・磯崎行雄・平田岳史・丸山茂徳・君波和雄・西村祐二郎 レーザーアブレーションICP-MSによる西オーストラリア,ノースポール地域の太古代酸性貫入岩・火山岩類のジルコンU-Pb年代
1-17
336KB
太田陽子・渡辺満久・鈴木康弘・澤 祥 1999集集地震による地震断層の位置と既存の活断層との関係
18-34
599KB 
鈴木茂之・檀原 徹・田中 元 吉備高原に分布する第三系のフィッション・トラック年代
35-49
777KB
田林 明・藤永 豪・中村昭史 胆沢扇状地における農業の存続形態
50-72
508KB 
石井久生 バスク自治州におけるバスク語人口の地域的動態とその諸要因
73-94
578KB
 報  告
  佐藤大祐 霞ヶ浦地域におけるプレジャーボート活動の展開と行動水域
 95-113
495KB
山野明男 秋田県八郎潟干拓地における干拓地農業の展開過程
114-130
300KB
 資  料
  日本地学史編纂委員会(東京地学協会):日本地学の展開(大正13年〜昭和20年)〈その3〉─「日本地学史」稿抄─
 131-160
314KB
 
書評・紹介
161-168
82KB
 地学クラブ講演要旨
  岩森 光 地殻・マントルの水―その循環と火成・変成作用―
169-170
26KB
 
東京地学協会第6回海外巡検「スイスアルプスを歩く」報告(井上 明・遠藤和雄・荒川和子・水山栄子・長谷野慎一・鈴木晴江)
171-179
267KB
協会記事
180-181
23KB
会  告
182-183
23KB