「日本の地震予知研究の歴史」

泊 次郎氏(東京大学地震研究所研究生)

平成22年12月17日(金)15時30分より
東京地学協会講堂において

要旨
日本の地震予知研究は、1962年に地震研究者有志でつくられた“ブループリント”から始まった、と語られることが多い。ところが、その歴史を調べてみると、1880年にミルンらによって日本地震学会が設立された頃にはすでに予知研究と呼べるものが存在し、1891年の濃尾地震の後に設けられた震災予防調査会では、地震災害軽減策の2本柱の1つとして「予知」が掲げられていた。以来、大きな被害が出る地震があるたびに、地震予知研究への関心が高まり、研究への熱意がさめかけたころにまた、大きな地震が起きるという歴史の繰り返しであった。この間、いくつかの進展は見られたものの、失敗・挫折に終わった研究も多い。主に1965年以前の予知研究の歴史を振り返り、どのような教訓を引き出すことができるのかについて、考えてみたい。
また、2008年に出版した拙著『プレートテクトニクスの拒絶と受容』(東大出版会)に対する反響、後日談についても紹介したい。