第258回地学クラブ講演会
「最近の地震津波による被害と影響の実態」

今村文彦氏(東北大学大学院工学研究科教授)

平成22年4月20日(火)午後2時から
東京地学協会 講堂

(要旨)
最近の地震・津波の被害や沿岸環境への影響の実態を紹介しながら,得られた教訓を整理する。特に,2004年発生したスマトラ島沖地震およびインド洋大津波による被害はインド洋全域にひろがり,死者が23万人,行方不明が4万人を超える史上最悪の地震津波災害となった。我が国の津波災害でも経験のない様々な新しい被害形態(大量の漂流物や土砂移動)も生じており,その状況を紹介しながら,今後の津波対策の必要性や方向性を議論したい。この地域には,過去M8クラスの地震およびそれによる津波の発生はあったが,これほどの被害規模は我々の歴史の中では初めてである。なぜ,このように広域で大規模の被害が起こったのか解明しなければならない。21世紀は巨大災害の時代であると言われている。1992年ニカラグア地震津波以降,被害を出した地震津波波も30事例を数える。将来においても地震の空白域での発生が懸念さえている地域も国内外に存在する。このような状況を紹介したい。