第257回地学クラブ講演会
排出削減から大気CO2吸収へー温暖化防止ジオエンジニアリングの話

小出 仁 氏(早稲田大学理工学研究所 客員教授)

平成22年3月19日(金)午後2時より
東京地学協会 講堂

要旨:
地球温暖化防止のための緊急手段として、大規模なジオエンジニアリング(地球工学)技術が見直されている。コペンハーゲン会議の失敗に象徴されるように、温暖化防止の難しさがますます明らかになっているためである。CO2回収・貯留(CCS)は、年100万トン以上の規模のCO2地中貯留が世界で5箇所になり、北海海底下の帯水層には既に1000万トン以上のCO2が貯留されている。しかし、コスト低減や長期安全性など課題は多く、日本など世界各国で最重点研究課題になっている。
海外では、大気中のCO2を直接吸収する技術が最近注目されている。大気は何処でも存在しているために、場所を選ばずに実施できる。温室効果ガス排出源とは関係なく、既存の産業施設に影響されない。このため、経済活動に影響を与えないという長所がある。
これまでに提案されている様々な物理化学的大気CO2直接削減技術はいずれもエネルギー消費が大きすぎる。しかし、植物は太陽光エネルギーを利用して,巧妙に大気CO2直接削減を実現している。未利用の自然エネルギーを活用できるマイクロバブル法大気CO2直接削減技術を提案する。