Home ニュース 講演会・地学クラブ開催報告 地学クラブ第289回講演会報告(1)
筑波山地域における日本ジオパーク認定に向けた取組
霜越 彩美(筑波山地域ジオパーク推進協議会事務局・つくば市ジオパーク推進室)

 現在,筑波山地域(石岡市,笠間市,つくば市,桜川市,土浦市,かすみがうら市)は日本ジオパークの認定を目指しています。ジオパークは「大地の公園」とも呼ばれ,ジオツーリズムや教育,保全などを通して「地球を丸ごと考える」場所として整備されます。

 たとえば,筑波山の梅林では,風化しかけた花崗岩の露頭や,筑波山の上部から落ちてきた斑れい岩の転石を見ることができます。また,焼き物で有名な笠間焼は,花崗岩が風化してできた鉄分を多く含む粘土がこの地域にあったからこそ発展したというひとつのストーリーがあり,花崗岩の露頭を見ながらジオと人とのかかわりを感じることができます。

 日本ジオパークは2008年に誕生し,この短期間にも関わらず,現在全国には36か所(うち7か所は世界ジオパークにも認定)のジオパークあります。筑波山地域では2012年に「筑波山地域ジオパーク推進協議会」が発足し,日本ジオパークの認定を目指してきました。2014年の認定を目指していましたが,残念ながら結果は「見送り」となりました。審査結果報告書によると,全体構想が不十分,組織の体制に課題がある,既存のジオパークとの交流をもっと促進すべき,等々の指摘をいただくと同時に,課題を解決することで魅力あるジオパークとなる可能性が大きいというコメントもいただきました。

 指摘された課題に関して,全体構想は現在検討中です。広いエリアなのでゾーニングをしてはどうかとのアドバイスを受けたことから,「筑波山塊」,「3つの盆地」,「霞ケ浦」,「台地と低地」という4つにゾーニングすることを考えています。また,実際回るコースは,ゾーニングを代表するものや,ゾーニングをまたいだものなど,多様なコースを検討中です。

 そのほか,民間の方々などに協議会員になってもらい協議会を拡大するほか,事務局も構成各市に置くことが決まっています。そして,積極的に日本ジオパークネットワークの大会等に参加する予定であるほか,既存のジオパークへの視察も予定しています。

 現在,2016年の日本ジオパーク認定を目指し,再申請に向けた取組を進めています。「教育・学術部会」「市民活動部会」「地域振興部会」という3つの部会も活発化してきています。今後とも筑波山地域ジオパーク構想への応援を何とぞよろしくお願いいたします。

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