地学雑誌
Home ニュース 見学会・巡検開催報告 平成30年度国内見学会「測量船体験ジオツアー」「新造船「はましお」に乗船し本牧沖で海洋調査を体験しよう -海上保安資料館の見学とともに-」開催報告

 海上保安庁海洋情報部は、海図の作成機関等として様々な海洋に関する情報を収集、分析しています。その中核は、測量船による現地での海洋調査観測です。今年の東京地学協会国内見学会は、晴天の横浜港で「本牧沖測量船体験ジオツアー」を実施しました。春に就航したばかりの第三管区海上保安本部測量船「はましお」に横浜港から体験乗船し、ベイブリッジを通過して、本牧沖でマルチビーム測深機などによる海洋調査観測を実際に体験しました。そして、海洋国家を支える海洋調査の重要性等について実感することができました。以下に、その実施概要を報告します。

日時:平成30年10月30日(日)13:30~16:00
参加者:20人(男性13人 女性7人)+案内者4人 計24人
案内者:加藤 茂(日本水路協会/東京地学協会理事)
三橋浩志(文部科学省/東京地学協会 行事委員)
青木正博(産業技術総合研究所/東京地学協会理事・行事委員長)
上田秀敏(日本水路協会)

 横浜赤レンガパーク「旧横浜港駅プラットホーム」に20人の参加者が時間通りに集合し、案内者4名の挨拶、海上保安庁第三管区海上保安本部の中村監理課長と杉山海洋情報課長をご紹介し、「測量船体験ジオツアー」はスタートしました。「はましお」に乗船可能な見学者は12人のため、2班に分かれて順番に乗船します。まず、A班が乗船し、B班は海上保安資料館横浜館の見学です。

 全員がライフジャケットを身につけて船内に。船内での注意事項などを船長から説明を受けます。そして、B班の見送りを受け、いよいよ出航です。

 「はましお」は、第3管区海上保安本部の所属する全長27.8メートル、総トン数62トン、速力は17ノット(約時速30キロ)の新造船(2018年3月竣工)です。主に沿岸海域の測量を担当しており、浅海マルチビーム測深機(水深250メートルまでの海底地形調査)や中浅海マルチビーム測深機(水深3,000メートルまでの海底地形調査)などの機器を有しています。横浜港を航行、ベイブリッジを通過して本牧埠頭沖(本牧海釣り公園沖)の海域に到着し、実際に浅海マルチビーム測深機を用いた海底地形の測量を体験します。沈没船が鮮明にディスプレイ上に表示されるなど、最先端の技術による海底地形調査を体験しました。

 

▲新造船「はましお」と乗船前の挨拶

▲「東京地学協会のみなさんようこそ」の歓迎のなか乗船

 

 

▲「はましお」ブリッジ内での海底地形測量の様子

▲海図に関する上田さんの説明

 一方、海上保安資料館横浜館は、横浜海上防災基地内に平成16年12月に開館した施設です。館内には、平成13年12月22日に発生した、九州南西海域工作船事件にかかる工作船及び回収物などが展示されており、海上保安庁の担当者の方から、丁寧にご説明頂きました。我が国周辺海域の現状と、海上警備の重要性などを学ぶことが出来ました。

▲海上保安資料館横浜館での見学の様子

 後半はA班とB班が交代して、「はましお」での海底地形調査の体験と、海上保安資料館横浜館の見学でした。予定どおり16時に解散。今回の国内見学会は、2班に分かれての体験乗船でしたが、参加者の皆さんのご協力で無事に開催することができました。

▲「はましお」前での参加者の集合写真

 海上保安庁の測量船に体験乗船する機会は極めて少なく、まして海底地形調査を実際に見学することはほとんど出来ません。今回、貴重な浅海マルチビーム測深機を用いた海底地形調査を学できるということで、20人の定員に多数(35人)の応募がありました。やむなく厳正な抽選を行いました。抽選に漏れた方には、本当に申し訳なく思います。晴天の元、風も波もほとんどない素晴らしい環境で測量船体験ジオツアーとなった、平成30年度国内見学会でした。

(記録:行事委員 三橋浩志)

【参加者の声】

 ジオツアーの募集を見たときに、この機会を逃せば一生測量船に乗船することはないと思い、申し込みました。まず感じたことは、測量船が意外に小さな船体であること。この船で静岡県から茨城県までカバーして、一旦出航すると一週間は測量するとのこと。外洋に出るので大変な仕事だと思いました。乗船して、実際の測量を見学したのは、ごく近くの本牧沖でした。電子化がすすみ、自動的にデータが取集できるとはいえ、一回にデータ収集で生きる範囲は思った以上に狭く、根気のいる仕事だと思いました。

 一方、海底の状況(砂地か岩地か。海図にも表示されているそうです。)の調査は、今もって、油をつけたおもりを海底におろし、おもりに付いてくる砂等により判断しているとのこと。非常にすすんだ機械化のなかに手作業が残っていることに驚くとともに、面白くも感じました。

 隣接する「海上保安資料館横浜館」には、2001年12月に沈没した北朝鮮の工作船が展示されていました。生々しい弾痕が残る船体を見て、海上保安庁の仕事の厳しさを実感しました。このような貴重な体験の機会を作ってくださった東京地学会と海上保安庁に感謝します。

(世田谷区・男性)

【参加者の声】

 測量船の調査海域が日本全国に及び、海図の作成、海中の堆積物、汚染度の調査など、多岐にわたることを知りました。小型船といいながら、業務の多岐にわたること!

 工作船資料館の展示は、誠に生々しく、任務外の事態に遭遇すことがあることも知りました。

 いつも晴天とは限らない、充分気をつけて。小型船の精鋭の皆さんが、任務を遂げられますことを祈っています。

 見学会に参加できましたことを感謝しております。

(練馬区・女性)