公益社団法人東京地学協会倫理規程
科学と科学研究は、より豊かな人間社会の実現に寄与するためにある。科学者は学問の自由の下に、特定の利害から独立して自らの専門的な判断により真理を探究すると共に、専門家として社会の信頼と負託を得て、主体的かつ自律的に科学研究を推進し、科学の健全な発達を促すために弛まない努力を継承している。
公益社団法人東京地学協会(以下「協会」という。)は、これらの認識のもとに、設立の趣旨と歴史を踏まえ、他の関連学会と協調しながら、環境や災害、資源などの社会における諸課題を解決するため、専門的かつ学際的・総合的に地学に関する事業を推進するとともに、広く社会に門戸を開く活動を通して公益に係る事業を推進する。また、協会は、科学と社会との健全な関係の構築と維持に自覚的に参画すると同時に、その行動を自ら厳正に律するための倫理規範の確立が必要であることを基本的に認識する。
第1条 この規程は、協会の会務の運営において、倫理に関する事項を定めることにより、協会の定款(以下「定款」という。)第4条各号及び第5条各号の事業(以下「事業」という。)の適正な実施を図り、もって協会の設立目的の的確な達成に資することを目的とする。
第2条 会員及び協会の業務に従事している者(以下「会員等」という。)は、協会の事業を以下の行動規範に基づいて実施する。
<公益性、説明責任>1.会員等は、地学および関連科学分野の進展に努め、その成果が与える社会的影響を自覚し、公益に資するため、成果を社会に周知するよう努力する。
2.会員等は、地学および関連科学分野に関わる問題について、中立的・客観的な立場から責任をもって対応する。3.会員等は、自らの研究・調査において環境および科学的遺産の保全に努める。また、関与する事業が社会や環境にもたらす影響を予測・評価し、公衆の安全や環境負荷に関する客観的な情報を公開し、環境への影響を最小限にするように配慮する。
4.会員等は、関与する事業において、その目的・方法・成果等について、社会にわかりやすく明確に説明する。 <自律と公正>5.会員等は、国籍、人種、性、年齢、地位、所属、思想、宗教等によって個人を差別せず、個人の基本的人権と人格を尊重する。
6.会員等は、研究や事業の立案・計画、申請、実施、報告、審査等の過程において法令を遵守し、公正かつ誠実に行動する。個人情報や知的財産を保護し、非公開情報を不正に入手・使用しない。7.会員等は、自らの能力の向上に努力するとともに、他者からの批判には謙虚に耳を傾け、オリジナリティを互いに尊重する。研究・調査データの記録保存や厳正な取扱いを徹底し、ねつ造、改ざん、盗用等の不正行為をなさず、加担しない。公表に際しては引用を適切に行い、著者責任を負う。
8.会員等は、関与する事業において、協会の責務・利益より特定の個人あるいは組織の利益を優先させてはならない。 <契約行為>9.会員等は、関与する事業において、契約上の雇用者または依頼者の代理人あるいは受託者として誠実に行動し、契約を遵守する。
10.会員等は、利益相反が予想される場合は、説明責任と公明性を重視して、雇用者や依頼者に対し利益相反に関する情報を事前に開示する。また、雇用者または依頼者から不適切な便宜供与を受けてはならない。 <自己研鑽・人材育成>11.会員等は、常に自己研鑽を図るとともに、次世代を支える人材の育成に努める。
(個人情報保護)
第3条 個人情報保護に関しては、個人情報保護規程を定め、協会および会員等はこれを遵守する。第4条 協会の刊行事業は、本規程に定めるもののほか、地学雑誌投稿規程に準じて実施する。
第5条 理事会は、本規程の目的を達成するために、以下の事項について、コンプライアンス委員会および必要に応じた委員会や特別委員会を設置し、関連する規程・細則等を別途定める。
1.コンプライアンスの運用・推進、啓もう・普及等に関する事項2.不正行為等の疑いおよびその申し立て処理に関する事項
3.利益相反に関する事項4.その他の倫理に関する事項
第6条 本規程の改廃は、理事会により決議され、総会に報告されなければならない。
この規程は平成27年6月13日から施行する。
公益社団法人東京地学協会 平成26年度第7回理事会決議
平成27年6月13日公益社団法人東京地学協会 平成27年度総会決議