日時

 2025(令和7)年11月8日 午後1時00分~4時30分

会場

 リファレンス麹町(東京都千代田区麹町3-1-1麹町311ビル4階 KJ404室)

参加人数

 50名

講師・講演タイトル・要旨

 この講演会の演者は,能登半島地震後に東京地学協会が実施した「令和6年能登半島地震関連緊急研究・調査助成金」ならびに「令和6年度調査・研究助成金」の採択者である。各発表に対し,様々な分野から数多くの質問があり,大変活況を呈する会となった。

 以下に,各発表の要旨を示す。各要旨の文責は,各発表者にある。

須貝俊彦(東京大)

講演タイトル:令和 6 年能登半島地震を誘因とした地形変化の統合的調査-複合地形災害評価に向けて

 令和6年1月能登半島地震と同年9月能登半島豪雨は,地殻―斜面―河川変動の連鎖を加速させ,新型の複合災害をもたらした。隆起量,地質(珪質泥岩,溶岩,凝灰岩等),既存地すべり土塊の有無,河谷の由来(先行谷,必従谷,適従谷)と地形(谷幅,縦断形,河口からの距離)等の場所条件と地形プロセス・物質移動の関係を調べた。内的・外的営力が累積した地域の地形発達史を踏まえた,流域単位での複合ハザードマップの開発と利用が必要である。

立石 良(富山大)

講演タイトル:富山湾南部における、令和6年能登半島地震時に 生じた「海底地すべり」跡の水中ドローンによる直接観察

 富山湾南部の,能登半島地震時に海底地すべりが発生したと推定される地点で水中ドローン探査を行った。その結果,海底谷の側壁に露出する岩盤が最近大きく崩壊した様子が確認された。その崩壊様式は,深層崩壊もしくは崩落と考えられる。また,古い崩壊痕跡も確認され,能登半島地震以前にも崩壊が発生していたことが分かった。これらの成果は,海底地すべりに起因する津波の発生メカニズムの解明や予測に役立つものと期待される。

松多信尚(岡山大)

講演タイトル:令和6年能登半島地震後の海岸隆起地形の特徴と地形変化

 本課題では,日本の地形学において初めて経験する,4m以上の海岸隆起で出現した地形をドローンレーザーにより正確に記録した。そのデータを基に,岩石海岸では通常は海底下に隠れて観察できない微地形を直接観察し,その形成過程を考察した。さらに,隆起に伴う侵蝕基準面の変化に対する沖積河川の応答を追跡し,河床物質の変化や地形発達史への影響を検討した。また,離水ベンチが短期間で飛砂に覆われた砂浜では,GPR探査によりその下に埋没する完新世段丘を発見し,新たな隆起証拠を見出す手法の開発を行った。これらの研究は萌芽的であるが,完新世段丘の形成や隆起量推定の議論をより深化させることが期待される。

後藤秀昭(広島大)

講演タイトル:2024 年能登半島地震に伴う海岸隆起と海底活断層

 2024年1月1日能登半島地震に伴って能登半島北部の広い範囲が隆起し,沿岸浅海の陸化が生じた。隆起した海岸線は延長約90kmに達しており,地震に伴う海岸地形の変化としては,これまでに記録のない規模であった。本研究では,どこで,どれだけ海岸が隆起したのかを詳細に記録し,その分布からどの海底活断層によって地震が生じたのかを地理学的に検討した。また,地震直後の離水地形を地形モデルとして記録した。

小岩直人(弘前大)

講演タイトル:令和6年能登半島地震による石川県内灘町における液状化の被害

 発表者らは,地震時,局地的に液状化の被害が大きかった石川県内灘町・かほく市において,現地踏査,ドローンを用いた測量,電気探査による地下構造の復元により,被害の分布と原因について検討した。その結果,河北潟に面する埋め立て地では,割れ目を伴った噴砂が著しいこと,人工的な改変がされ,さらに地下水面の上位に乾燥した砂層が薄く被覆している場所において,上端に亀裂を伴った側方流動が発生している可能性が指摘された。