日本ジオパークネットワークと(一社)「美しい伊豆創造センター」のご協力により認定ジオガイドの案内による東京地学協会ジオパークツアーを開催しました。
日程
2026年3月7日(土)~3月8日(日)
- 1日目 三島駅北口集合 「陸上火山時代」(東伊豆)、修善寺駅/三島駅北口解散
- 2日目 三島駅北口/修善寺駅集合 「海底火山時代」(西伊豆)、三島駅北口解散
参加者数
- 3月7日(土) 31名
- 3月8日(日) 35名
案内者
伊豆半島ジオガイド協会の認定ジオガイド10名(場所ごとに交代)
加藤さん、鈴木(正)さん、小松さん、西谷さん、齊藤さん、仲田さん、鈴木(ま)さん、鈴木(彩)さん、勝呂さん、浅賀さん
東京地学協会の同行者
平田 大二(行事委員長)、大島 光春・川辺 文久(行事委員)
コースと予定
1日目 3月7日(土) 東伊豆
Start: 三島駅北口→Stop 1: 丹那断層公園→Stop 2:玄岳→Stop 3:大室山(さくらの里)→昼食→Stop 3:城ヶ崎海岸→Stop 4: ジオリア→修善寺駅→解散 三島駅北口

新調された協会旗を持ち、腕章をつけた行事委員が三島駅で参加者を迎えました。初日のテーマは「陸上火山時代」で、東伊豆のジオサイトを巡りました。伊豆半島ジオパークのロゴ入りの大型バスでのツアーです。
ジオガイドの加藤さんの解説を聴きながらバスでStop 1の「丹那断層公園」へ移動しました。2グループに分かれ、ジオガイドによる解説に耳を傾けました。東海道線丹那トンネルの工事は大量の湧水や断層破砕帯の中を掘り進む難工事であったこと、さらに工事中の1930年に北伊豆地震が発生し、すでに掘削したトンネルがずれてしまったことなどの説明がありました。トンネル内でこのずれが修正しきれずに残っており、東海道線 の走行中の揺れで、そのずれに気づく人もいるという噂があるそうです。公園内には、地表 に現れた地震断層を境に水路の石積みがずれていることや、トレンチ断面で地震断層のずれを観察することもできました(写真1)。

バスでStop 2の「玄岳(西丹那駐車場)」へ移動し、先ほど丹那断層公園で見た断層を丹那盆地から続く凹地形として俯瞰しました。ここは素晴らしい眺望で、富士山、愛 鷹山、箱根といった火山の位置関係も確認できました(写真2)。
Stop 3の「大室山」では、残念ながら強風のためリフトが運休で山頂へは行けませんでしたが、熟練ジオガイドが代案とし準備していた「さくらの里」へ。2月に山焼きされた真っ黒な大室山が大きく見える公園です(写真3)。そこではスコリアラフトの断面が見られ、地表に開口し

た溶岩洞穴を覗くこともできました。
バスで移動し、昼食の「伊豆名物 金目鯛煮付定食」を頂いた後、Stop 3の「城ヶ崎海岸」を散策しました。大室山火山から流出した溶岩流によって形成された、手を広げたような地形を、歩き、灯台から観察して体感することができました(写真4)。
その後、Stop 4の「伊豆半島ジオパークミュージアム ジオリア」がある修善寺へバスで向かいました。ただし、閉館間際の到着となってしまい、解説動画で本日の復習と明日の予習をする程度の時間しかありませんでした。ぜひ別の機会にゆっくりと展示物をご覧いただきたいと思います。

修善寺温泉に泊まる方とはここでお別れし、バスは北へ流れる狩野川を横目に三島駅まで移動し解散となりました。
2日目 3月8日(日) 西伊豆
Start: 三島駅北口→Stop 1: 旭滝→Stop 2: 黄金崎→堂ヶ島でStop 3: 堂ケ島(昼食)→Stop 4: 枯野(かるの)公園→Stop 5: 浮島(ふとう)→ 解散 三島駅北口

2日目のテーマは陸上火山になる前の時代、「海底火山時代」で、西伊豆を巡りました。
三島駅を出発し、修善寺駅で一部の参加者と合流して、修善寺駅からすぐ近くのStop 1の「旭滝」へ向かいました。ここでは柱状節理の横断面が滝の表面になっています(写真5)。つまり、滝の水の奥に柱状節理の六角形の断面がずらりと並んでいるのが見えます。滝の中段には柱状節理が横たわっていることを確認できる箇所もありました。ここには、江戸時代には普化宗の瀧源寺(ろうげんじ)があり、虚無僧が修行をする場所だったそうです。
バスに戻り、道の駅月ヶ瀬に立ち寄り、土肥金山を横目で眺め、Stop 2の「黄金崎」へ向かいました。

宇久須の珪石鉱山から近いこの場所も、海底火山の噴出物が熱水変質を受けたため、黄~褐色になったそうです。そしてウマの首にも見えるこの崖が、夕に照らされると黄金色に輝くので「黄金崎」と呼ばれるようになりました。三島由紀夫の小説にも登場する場所です(写真6)。

バスへ戻りStop 3の「堂ヶ島」まで移動しましたが、乗船予定の遊覧船が強風のため運休になっていました。前日のリフトに続いて運休となったのは残念です。お弁当は三島のお弁当屋さんのもので、アジフライ、わさび漬けなど伊豆らしい食材が入っていました。ジオガイドさんからは「弁当を食べるときは、壁を背にするとトビに狙われにくい」とのアドバイスがありました。

昼食後は「堂ケ島」とその周辺で、海底噴火による凝灰岩の表面にエッチングされたような美しい堆積構造(写真7)を観察し、天窓洞を上から覗き込み、象島につながるトンボロも見て自然の造形を堪能しました。 小さな湾一つ分バスに乗り、沢田公園を経て、徒歩でStop 3の「枯野公園」まで移動しました。途中の鍛冶屋浜では岩のりを収穫している地元の方ともお話しできました。「枯野公園」では、展望台から海岸へとつながる急な階段を下りたところで、ハイアロクラスタイトを観察できました(写真8)。この日のテーマ「海底火山時代」を確認することができました。
仁科漁港をぐるりと歩き、はんばた市場の前でバスが待っていてくれました(写真9)。一部の方は市場でお買い物(柑橘類かな)を楽しんでいました。

最後のStop 5の「浮島(ふとう)」では大型バスは近くまで行 けないので、現地まで少し歩きました。冷たい風が吹き付けるなか、海岸で岩脈や柱状節理を観察しました(写真10)。

ここからバスまで戻って、お世話になったジオガイドの皆さんと別れ、一路三島駅を目指しました。車中ではお休みになった方が多いように見受けられました。
今回のジオパークツアーは、リフトと遊覧船の運行中止というハプニングはありましが、2日間とも天気に恵まれ、支障なくツアーを実施できたことが良かったと思います。(文責・写真 大島光春 2026/04/10)
■参加者の感想(アンケートから抜粋)
「印象に残った場所」としては、6割を超える人が丹那断層公園、城ヶ崎、旭滝、黄金崎、堂ヶ島と回答しています。
- 伊豆東部の火山活動や、丹那断層の活動、西伊豆の沈降のメカニズムについて理解しました。旭滝では虚無僧の普化宗が青梅市(私の生まれ故郷)にゆかりがあったと知り、驚きました。大室山や城ヶ崎海岸は以前に訪れたことがありましたが、大室山の麓にスコリアラフトや溶岩洞穴があることは知りませんでした。スコリアと溶岩流が交互に流れたことや、地震が起きるとマグマが発砲して噴火しやすくなるなど、たくさん学ばせていただきました。西伊豆では地元で生活されているガイドの方に案内していただき、暮らしぶりや環境の変化などについても興味深くお話を伺いました。つい自宅から近い東側や中部ばかりに行きがちですが、今後は西側にも足を運びたいと思いました。(会社員・公務員等)
- 今までの疑問が幾らか知ることができ、または参考にもなった。柱状節理の多彩さ、火山岩の玄武岩、安山岩の類似点、相違点。大室山のスコリア丘と溶岩との関係。ありがとうございました。”伊豆半島の成因と、大まかな地層分布をまず説明いただき、プレート→層序と段階を意識しながらの展開でとても興味深く見学と説明を聞くことができました。こうしてみると伊豆半島は、非常に様々なテクトニックな活動の結果で、コンパクトに多種多様な活動が見て取れる夢のような場所だと実感できました。(教員)
- 非常に充実した内容で、地学協会の先生方やジオガイドの具体的な説明があり伊豆半島のでき方がよく理解できた。伊豆半島の形成過程を説明するには、現地で具体的なものを見ながらでないとだめですね。2日間、晴天で暖かかったのが、より理解度を増したのだと思います。大室山に登れたらよかったですね。丹那断層公園の観察で、目の前で断層のずれ、断層の続きを景色を見ながら確認できたのが大変良かった。個人的には堂ヶ島の温泉ホテル側と象島がつながったトンボロの写真が撮れたことが大収穫だった。 ―中略― 多くの方々と話し合うことができ、土地の変化、成り立ち、人とのつながりができた、充実した2日間のジオツアーとなりました。(教員)
- 以前(だいぶ前)伊豆のあちこちを訪ねていたので、いったことのある場所もあったのですが、観光、温泉、食事etc.がメインだったので、とても新鮮で面白かったです。ガイドさんに浄蓮の滝に行ったことある人とか、大室山に登ったことある人とか、遊覧船に乗ったことある人とか聞かれるたびに一人で手を上げていたのですが、今回見せていただいた景色は全く別のものでとても興味深く楽しく拝見しました。いちいち、わー凄いと感嘆の声をあげていました。フィリピン海プレートの活動とともにかすかに見えた丹沢を認識できたことも嬉しかったです。旭滝は初めてみました。柱状節理はなんとなく縦方向という思い込みがあったので、びっくりでした。ガイドさんが丁寧に説明してくださったので、なんとかどうやってできたかを理解できたと思うのですが、いい場所を教えてもらったなと思います。西伊豆町の海岸の奇岩の連なりに見える景色も、太古の昔海底火山の活動でできたものと知り、ちょっと見方が変わったように思います。地球は生きているを実感できる旅でした。(主婦・主夫)
- 丹那断層、大室山、城ヶ崎海岸、堂ヶ島は10~20年以上前に家族で訪問したことがあったが、改めてガイドに説明していただくことで、自分たちでは気づかない地学的な地形の形成状況を思い浮かべることができた。地球物理と地質は大きな壁があり、地球物理にとって、柱状節理の冷え方、形成過程については新たな知見であった。(研究所職員)
- 伊豆半島に関しては、専門の方が大学内にいらっしゃらないため、講義で詳しく半島全体の地形について学ぶ機会がありませんでした。そのため、今回この二日間を通して伊豆半島の成り立ちについて多くのことを学ぶことができました。加えて、ジオパークのガイドさん達の、自身の幼少期の伊豆半島の暮らしや土地との関わりについての貴重なお話が印象に残っています。ジオパークに訪れ説明を受けることには、単に学術的なことを実際に見ながら学べるという意味だけでなく、このような人々の愛着を通して、その場所自体に自分も深く関心を持つことが出来る様になるということを学んだ気がします。(大学生)
- 私は静岡県出身ですが、伊豆半島がこれほどまでに地学的に面白い場所だということは知らなかったので、地元の理解が進んだとともに、地学に精通されている方々とともに各ポイントを回らせていただいたことで、地学的な理解が進み、非常に有意義な学びの場となりました。特に、まだ地学の知識が浅い私にとっては、横向きの柱状節理や溶岩扇状地など、初めて見聞きする地形や現象も多く、その成因や形成過程について学ぶことができ、非常に興味深かったです。教科書の図や写真だけで終わらず、実際に見て観察することができ、改めて巡検の良さを実感しました。貴重な機会をいただき、ありがとうございました。(大学生)
- 授業で学んだ内容が実際の岩石や露頭に表れているところに感動しました。印象的だったのは、通常の海洋島は玄武岩質の火山島であるのに対し、フィリピン海プレート上の火山島では流紋岩質の粘り気のある溶岩でできた火山島やそこからの噴出物を含む地層があるという特徴があることです。まだ詳しくわかっていないということで、将来自分が研究をするときのテーマの候補の一つにしてみようかなと思いました。(大学生)
- 伊豆半島がフィリピン海プレートに乗って南からやってきた事や、東伊豆の単成火山群が本州では特異だということを学べました。単成火山がなぜ一発屋かということもジオリアで分かりました。(会社員・公務員等)
